内定をした企業からは、後に内定承諾書(誓約書)の提出を求められることがあります。
ですが、提出後に内定辞退せざるをえないこともあるでしょう。この書類に法的な拘束力があるのでしょうか。
また、辞退することになったらどのような行動をとればよいのでしょうか。
■内定承諾書に法的拘束力はない
現在、ほとんどの企業は正式内定日を10月1日としています。
しかしそれ以前に、実質的な内定である内々定を学生に出し、
内定承諾書や誓約書を取り交わしています。
では、この書類に法的な効力はあるかというと、まったくありません。
みなさんには憲法22条で守られている「職業選択の自由」があります。
内定承諾書はあくまでも採用活動における、あなたと企業とが交わす「約束」の意思表示であり、
そのことによる罰則を設けることは労働基準法第16条で禁じられています。
実際に内定者が入社を承諾しながら後に辞退した場合は、単なる労働契約の解約ということになり、
労働契約解約の意志表示をした日から2週間たてば解約は成立するとしています(民法第627条)。
■内定辞退したら、損害賠償は発生するの?
しかし、内定承諾書を提出後に辞退することによって、一定の損害賠償を求められる可能性はあります。
労働基準法第16条では「使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、
又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない」と定めており、
内定者と損害賠償を予定するような約束を交わすことは一切認められていません。
ですが、労働基準法が禁止しているのは、あらかじめ違約金を定めることや
損害賠償の額を予定することですから、契約不履行(つまり内定辞退)により現実に生じた損害についての賠償請求をすることは可能なのです。
この「現実に生じた損害」とは、例えばあなたが入社する予定で用意されていた備品や、予定に組まれていた研修費などです。
内定後提出する書類に、そのような賠償を請求される記述があるかどうか、しっかり確認しておきましょう。
また、会社への入社志望度をよく検討して、志望度の低い会社は「10月1日までに断ればいいや...」ということではなく、
なるべく早く辞退するなど誠実に対処してください。
■内定承諾書は企業とあなたの信頼の証
内定承諾書は、採用する側とされる側の信頼関係で成り立つものです。
企業とあなたとの信頼関係における確認、つまり「約束事」という意味合いで捕らえてもらうのがわかりやすいのではないでしょうか。
法的拘束力がないとはいえ、軽んじていいというわけではありません。
おざなりにすれば、あなたの大学の就職課や後輩の信頼をも損なってしまうことになります。
承諾書提出後に辞退することで、呼び出されて理由を問われ、時には怒られたりすることもあるでしょう。
ですが、そんな時にこそ、心からお詫びをし、誠実に対応するように心掛けましょう。
また、不当な賠償を求められたらまずは就職課に相談しましょう。場合によっては警察に訴える必要もあります。