前回、労働条件は全体的に良くなってきているとお話しました。しかし、
「労働条件が良くなってきているといっても、結局大手企業の話でしょ!?」
そう思われる方も多いかもしれません。
事実、労働基準法違反で労働基準監督署が立件するのはよほど悪質でない限り、社会的影響力の強い大企業がほとんどで、中小企業に関しては訴えがあってもすべてを調査することはできず、また、調査に入ったとしても指導でとどまるケースが実際には多いのです。よく「会社が違反しているから労働基準監督署に訴える!!」なんていう人がいますが、実際にはよほどの証拠が揃っていない限り監督官が動くことはそうそうありませんでした。それは全国で400万社以上の会社があるのに対して、監督官が3,000人しかいないことからも明白です(1人あたり2,000社を担当)。
中小企業は当然、経営的に大手企業と比べ労働条件がよくないところが多いです。以前、私が関わったある会社で雇用契約書を見せてもらったところ、残業代が一律800円という会社がありました(本来は通常の賃金の25%増)。どういうことか社長に聞くと、この会社の社長は残業代を割増しないといけないこと自体を知りませんでした(指摘後、すぐに改善されました)。
これは極端な例ですが、実はこの会社のように、中小企業ではあからさまに違法なことを行っている会社がたくさんあります。しかも、社員の方が知識があり違法なこととわかっていても、会社(社長)の方がわかっていない場合がほとんどです。そして不満が積み重なっているところにあるきっかけで表面化してしまうのです。しかし、こういった会社ほど単に知らなかったというケースが多いので改善しやすいのです。
一番難しいのは中堅どころの会社だと思います。中小企業のように社長が身近ではないため問題が伝わりづらく、その上、残業代や有給休暇等を与えるには従業員が多すぎて負担が大きく、問題を認識していても改善できないでいるのです。
では、そのような会社に勤めてしまったら諦めるしかないのか? そんなことはありません。対処法はいろいろありますが、まずは何が問題で何が問題ではないのかを皆さん自身が認識することです。
そして問題があると判明した際には、いきなり労働基準監督署へ行ったりせず紳士的に会社に話をしてみることが、まず第一歩だと思います。



