月2回刊行の青年誌『スーパージャンプ』で、就活マンガ『銀のアンカー』を連載しているのが、漫画家の三田紀房さんです。就活の裏側をズバッと暴く内容には多くの読者が惹きつけられ、『ドラゴン桜』に続く名作と話題騒然。そんな作品を描く三田さんに、自身の就職活動について語っていただきました。
―と、言うことは、多少は接客や流通業界に興味をお持ちだったのでしょうか?
いや、正直なところどこでもいいと思っていました。希望の業界なんて考えたこともなかったし、特になりたい職種もありませんでしたからね。
僕はものすごく面倒くさがりなんですよ。「一生懸命勉強して、困難を突破する」みたいな考えはまったくない。いつも「行けばどうにかなる」ぐらいに考えていましたし、どこに行ってもそれなりにやれる自信がありました。就職活動もそういうノリで、「どこでもいいからラクに稼げる会社に行きたい、行けばどうにかなる」と思っていました。
―そうは言っても、接客への興味がまったくないと、やはり百貨店業務というのはキツイのではないでしょうか?
いえいえ、そんなことないですよ。誰にでもできる仕事だと思います。
ただ僕は、学生時代にちゃんこ屋で接客のバイトをしていたので、その経験が役に立った部分はありますね。お客さんに鍋を作ってあげる仕事をしていたんですが、速い上にきれいにできて、我ながら「俺って鍋作るのうまいなぁ」と思っていました(笑)。お客さんからの評判も良かったし、店のオーナーからも「お前、ウチで社員にならないか」と誘われたぐらいだったんですよ。お店で元気良く「いらっしゃいませ!」とか「ありがとうございました!」と声を出すことにも、一切抵抗がありませんでした。実家が商売をしていたこともあって、商売人の遺伝子みたいなものは持っていたんだと思います。
―なるほど。そういった経験が、接客への自信につながっていたということなんですね。
まぁ、それはあるでしょうね。
西武百貨店に入社したあとはイージーオーダーの部署に配属されたんですが、十数年ぶりの新人ということで上司や先輩にすごく可愛がってもらいましたし、仕事自体もラクでした。特に苦労らしい苦労はなかったように思います。
―「なにも考えていない」とおっしゃる割にはトントン拍子に就職活動を乗り切って、入社後も順調にお仕事をされていたんですね。もしかしたら、なにか"うまく生きる方法"や"ラクに仕事をするコツ"のようなものがあるのでは......?
うーん、特にこれといったコツはないんですが......。あ! そうそう、仕事中はとにかく早足で歩くようにしていました(笑)。忙しそうに見せるのは上手だったと思います。あんまり暇そうにしていると目につきますからね。その辺をうまくやっていたこともあって、可愛がられていたのかもしれません。
ムキになって力んでも仕方ない。「なるようになる」と思っておおらかに構えていたほうがいいと、僕はずっと思っています。